POLICY

本年政策


理事・室長 渡辺 力也

教育は社会の未来を創ります。教育は個人だけでなく社会において未来を創る上で非常に重要なものです。

先の見えない時代と言われる中、諸外国では新しい教育への取り組みが進む中、日本では、求められる教育、人財を示しながらも様々な課題を抱え、課題を解決できずに取り組みが遅れています。

国が変わらないから。行政が変わらないから。学校が変わらないから。出来ない理由を並べていても、現状が変わることはありません。

私たちがまだ見ぬ新しい時代に生き抜ける人財の育成、リーダーシップを発揮し、能動的に課題を創造し、新たな価値を生み出すことが出来る、課題創造型人財を創出する新しい教育システムを構築するためにこれまでの運動に加えて、家庭・学校・企業・行政・市民を巻き込み日本全体が力強く前進できるムーブメントを起こす必要があります。

SUMMARY

過去政策のサマリー

教育の現場を取り巻くいじめ、虐待などの様々な課題の根本的な解決には親子、学校だけでなく世代間、家庭を超えた地域社会と交流し、多くの市民を教育に巻き込み課題に向き合う必要があります。そうした取組の中から子どもたち自身が生き抜く力を伸ばす教育を我々子育て世代から広めることに取り組んでまいりました。

2017年からはそうした子供に必要な非認知能力を育むことでAIやIoTにみられるような昨今の急速な技術革新を踏まえ、生活が激変することが予想される未来においても生き抜ける人財の育成を我々だけでなく企業や地域全体を巻き込んだ運動を実践してまいりました。

VERIFICATION

過去政策の検証

これまでの教育政策では具体的な教育現場の課題の解決に対して市民の参加を促す運動を行い、当事者を軸とした縦と横のコミュニケーションがその解決の重要な役割を果たす鍵となるものとして光を当ててきました。しかしながら、AIの急速な発展は今後の将来を担う子供たちへ大きな影響を与え、子どもたちが大人になる時代には49%の職業が消えるなどの予測が立てられています。そうした急速に変化する社会の中で活躍する人財こそ明るい豊かな社会の実現のためには必要です。

自主性・創造性・社会性という非認知能力の向上のために起業家教育、ESD教育、STEAM教育など世界で導入されている新たな教育の導入を進める必要があります。そのためにNPO、企業などの他団体とのパートナーシップを築き、運動の方向性を指し示し、実施していく市民と組織を連携させる役割を東京青年会議所が担っていくことが求められています。

HISTORY

政策の歴史

2020年
事業名称
家庭・地域・学校で育む子どもの自己肯定感~褒めるだけじゃダメ?愛が伝わる子どもへの接し方~
社会背景
2020年から実施される新学習指導要領では、非認知能力が重視されている。JCI東京は2017年から非認知能力の向上に着目してきた。非認知能力のうち自己肯定感の高い子どもは、主体性等の他の非認知能力も高い傾向にある。そのため、子どもの自己肯定感を高めることが、非認知能力全般を高めることに繋がる。しかし、日本人の子どもは諸外国に比べて自己肯定感が低く、年々低下傾向にあることがわかる。更に、親の自己肯定感と子どもの自己肯定感には相関関係があるという調査結果が出ており、子どもの自己肯定感の低さには親の自己肯定感の低さが影響していると指摘されている。また、子どもの自己肯定感向上のためには、家庭・地域・学校の連携が効果的と言われており、子どもとの関わりをもつ人々が意識的、計画的、組織的に指導を行ったり、適切に働きかけたりしていくことが重要とされている。家庭に対して自己肯定感向上の重要性を周知するとともに、家庭・地域・学校の連携を構築することが求められている。
目的
家庭・地域・学校が連携して子どもの自己肯定感を高める環境を作ること
事業内容

【基調講演】(工藤紀子氏)

自己肯定感の意義、自己肯定感を高める必要性、子どもの自己肯定感を高める具体的な方法について、また、子どもの自己肯定感の低さには、親の自己肯定感の低さが影響していると言われていることから、子どもの自己肯定感を高めるという目的実現のための手法として、親の自己肯定感を高める方法について。

【事業紹介】

子どもの自己肯定感を高める具体的な方法とは、「他者の役に立つ経験をすること」だと言われています。そこで、教育政策委員会では、推進運動として、家庭・地域・学校が連携して取り組む「おかいもの事業」を実施しました。

【パネルディスカッション】(工藤紀子氏、川合正氏、坂東真夕子氏)

家庭・地域・学校が連携して子どもの自己肯定感を向上させることの重要性と具体的方法について。

【東京JCラジオ】(全4回発信)
残念ながら、新型コロナウィルス感染症の影響で例会は中止となりましたが、東京JCラジオにおいて、4回にわたって5月例会及び教育政策推進運動の目的である「家庭・地域・学校が連携して子どもの自己肯定感を高める環境を作ること」について発信しました。

主なターゲット
メインターゲットは保護者
2019年
事業名称
2月例会 新時代の子育て
社会背景
VUCA、シンギュラリティ、グローバル化の時代により、人はAIにとって変わられる時代が迫ってきている。総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(H28年)によると、AIの活用が一般化する時代における重要な能力では、創造力・主体性・社会性(対人能力など)がトップ3となっている。2018年度教育政策室でまとめた9つの非認知能力の中で、創造性・主体性・社会性の3つが特に重要とされている。民間は流れを受けて起業教育、ホームスクール、ESDなどの様々な教育手法を展開し始めているが、同室の調査の結果、非認知能力を高める為の学校外の活動に対して、子どもの74.3%が参加していないことが判明した。また学習指導要領の中では、今後の教育は学校内に閉じずに、社会と共有・連携しながら実現させることが必要であることが述べられているが、文科省は課題として連携の強化を述べ、連携が不十分であるという現状がある。
目的
自主性・創造性・社会性を育む教育の必要性を示し、共に推進していく団体とのパートナーシップを築くこと
事業内容

【第1部基調講演(新時代の教育の方向性を示す)】40分(孫泰蔵氏)

実体験により見ている新時代について、それにより今後必要な人財はどうあるべきか、そのために子ども、保護者、それを取り巻く大人に必要なあり方について。

【第2部ディスカッション】45分

  • モデレーター:染谷優作氏)
  • 中島芭旺氏
  • 山内奏人氏 (創造性)
  • 千葉百華氏(社会性)

「新時代の子育て」をテーマに、自主性・創造性・社会性の観点から自身の体験を踏まえてディスカッション。

【第3部シェアスクール(体験型プログラム)】40分

教育関係者・企業による体験型の授業を実施。それぞれの専門分野の授業や体験を行う。興味がある授業に自由に参加し、学ぶ楽しさを体験いただいた。体験型授業の中にESDプログラム体験ブースを設置。

主なターゲット
企業
2018年
事業名称
ヒーローアカデミー2.0 ~EDUCATION SHIFT あなたが子どもにできること~
社会背景
政府は「Society 5.0」という概念を打ち出した。また「新しい経済政策パッケージについて」や、自由民主党政務調査会の提言では、Society5.0の社会で必要な能力の一つとして非認知能力が重視され、非認知能力の育成に幼児期教育が特に重要としている。それらはインフォーマルな活動により形成されるとの研究がある。しかし、核家族化、地域の繋がりの希薄化により、67.2%の保護者が家庭での教育力の低下、また55.6%の保護者が地域の教育力の低下が進んでいると回答している。
目的
地域と連携する幼少期教育を子育て世代から広め、地域・家庭・学校の好循環を創りだすこと
事業内容

<例会開催>

【オープニング映像】主旨説明と時代の変化とSociety5.0の世界を示す。それに伴い必要とされる資質・能力が変化している現状を映像で伝える。

【基調講演①】

中室牧子氏「教育に科学的根拠を」という演題でエビデンスから幼少期教育の重要性を伝える。

【基調講演②】

鈴木寛氏「 Society5.0の未来とその時代に必要とされる能力の構築方法」について、講師による講演を行う。

【提言ディスカッション】

  • 鈴木寛氏
  • 定野氏
  • 外口理事

東京青年会議所の考える提言について来場者・行政を交えてディスカッションを行う。

【地区事業紹介】

  • 鈴木寛氏
  • 定野氏
  • 外口理事

2018年度に教育関係の事業を行う地区委員会に登壇してもらいPRしてもらう。

【地域教育エキスポ】【Society5.0体感ブース】

一つの会場を展示会のように設え、室事業ガイドブックに記載されたNPO団体等をお呼びして展示会を開催する。またsociety5.0に関係した団体にブースを出店してもらい体感してもらう。

主なターゲット
子育て世代、成人~高齢者、NPO
2017年
事業名称
ヒーローアカデミー ~2045年、あなたの子供は未来を生き抜けるのか~
社会背景
IoTやAIの急速な発展は今後の将来を担う子供たちへ大きな影響を与える。教育も新しい時代に対応する為に2014年に文部科学省より学習指導要領の全面改定が諮問された。改訂理由を「新しい時代を生きる上で必要な資質・能力を確実に育んでいく」ためとしている。その資質・能力はOECDの「必要な資質・能力」やATC21sの「21世紀型スキル」に共通される創造性やコミュニケーション力等である。2014年文部科学省の調査によると核となるコミュニティースクールに参加している58%の校長が課題として、保護者・地域に知られていないなどが上げており、保護者・地域のさらなる参加が求められている。
目的
子供の生き抜く力を伸ばす教育を子育て世代から広めること
事業内容

<例会開催>

【オープニング映像】【5分】
主旨説明と時代の変化のスピードが加速しており、それに伴い必要とされる資質・能力が変化している現状を映像で伝える。

【基調講演】【40分】(藤原氏)

現在進んでいる技術革新や2045年問題などから見えて来るこれからの時代を生き抜く為に「必要とされる能力・資質」とは何なのかを伝える。

【対談】【8分】(太田氏・外口委員長対談)

外口委員長より「必要とされる能力・資質」についてムービーで使用したデータ等から、予測される未来に必要だと思われる理由を重ねて伝える。そして太田校長より、現在の教育現場の状況、「必要とされる能力・資質」育成の現実を示し、学校には地域の力が必要なのだと話し、教育と地域の連携の重要性を伝えることを狙いとする。

【多年代教育の利点紹介と実践例】【12分】(太田氏)

対談に神田一橋中学校生徒を加え、子供達に職業体験などの経験を話してもらい、その経験が子供達の成長にどの様な影響があるかを校長と読み解く。

【パネルディスカッション】【50分】

  • 藤原氏
  • 白田氏
  • 中曽根氏
  • 大西氏

多年代間交流の構築方法について、講師によるパネルディスカッションを行う。

【レポート発表】

ピロティにおいて、全国てらこやネットワークなど協力団体・民間団体にも活動内容をブース展示してもらい、東京JC地区委員会教育事業の資料も展示して、多年代間共育の重要性を理解してもらうことを狙いとする。体験発表に登壇できなかった中学生のレポートも張りだす。

主なターゲット
子育て世代、成人~高齢者、メンバー
2016年
事業名称
共育のすゝめ ~世代間交流が未来を切り拓く~
社会背景
東京都の要介護者数は44万人(2010年)から73万人(2025年)へ1.5倍以上増加の見込みであり、高齢者が会社・仕事を離れても、社会や地域と関わり続けて健康を維持する仕組みや意識変革が必要である。また、子供の教育に関して、東京都は核家族化率一位であり(総務省統計調査2013)、子供が保護者以外の大人と接する機会が少ない。他方、高齢者の単身世帯率も全国で一位(24%)であり、高齢者の孤独状況は他の道府県に比べて深刻化している。
目的
メンバーを中心とする参加者が世代間交流の意義を理解し、各地区で場を創出する具体的決意に至ること
事業内容

【古市憲寿氏による基調講演】

幼児教育を中心に、現代の教育課題(貧困の連鎖やいじめ問題、祖父母・地域との交流の欠如など)を取り上げ、これらの課題解決のために世代間交流が必要であることを参加者に理解してもらう。

【高齢者施設と保育園を併設している「江東園」の紹介】

「江東園」に子供を預けている保護者のインタビュー動画、そして、「江東園」内の写真撮影をスライドショー的に流す。

【事例紹介(パワーポイント)】

各自治体で行われている、高齢者が子育てに関わるための制度(マッチングサービスや、施設など)を紹介する。

【あなたの町の“世代間交流サービスBook”活用方法】

23区内で既に行われているサービスをすぐに受けられるように紹介用のパンフレットを作成する。掲載するサービスは、子育て世代同士の相互支援ではなく、高齢者の方が登録をしている団体に限る。

【世代間交流施設の経営者・実践者をパネリストとしたパネル・ディスカッション】

古市憲寿氏、及び世代間交流施設の経営者をパネリストとして、世代間交流による地域、子供たち、高齢者へのメリットを議論。

主なターゲット
子育て世代、成人~高齢者、メンバー、関係団体、行政