POLICY

本年政策


理事・室長 三上 瑛康

経済問題に対する取り組みは、東京青年会議所の設立の時に遡ります。設立趣意書にも「先ずは国内経済の充実であり、国際経済との密接な連携である」と経済政策へ取り組む意義が述べられており、まずは「経済人として自らを律し、仕事を通じた有益な財・サービスの提供により地域社会に奉仕すること」、次に「地域社会の諸問題解決に貢献すること」が理念として掲げられています。

更に2018年には、公益社団法人日本青年会議所の定款に「奉仕」「修練」「友情」の三信条に加えて「ビジネス」の機会が明記され、青年経済人として自らの社業を発展させる必要性が全国的に謳われるようになりました。経済の中心地である東京において、青年経済人団体である東京青年会議所の会員が社会課題解決型のビジネスを構築・展開することにより、「経済」と「社会」との好循環が生まれ、持続可能な経済発展が実現されます。

SUMMARY

過去政策のサマリー

1972年より続いてきた経済政策委員会は当初は近代的経営手法の紹介など経営問題への取組みが中心にありました。バブル期以降は、日本経済の成熟化、米国が牽引する情報産業革命の進展等により経済構造が大きく変化し、規制緩和・情報公開・市場開放の推進により、官に頼らない民間主導型の経済を目指した運動に継続して取り組んできました。

日本経済の再構築を目指して中小企業の活性化にも注力し、世界的な経済成長の恩恵も受けながら経済の再生を果たします。しかしながら、東京全体においては経済の隆盛とともに、短期的な利益を求める経営が目立つようになります。資源・エネルギー価格の高騰、急速に進む地球温暖化などの環境問題への対策が求められるなか、より良い社会実現のためには経済問題に取り組み高い成長を追求するだけでなく、環境に配慮した持続的な発展を目指す必要性に迫られ、環境に配慮した運動へと移行していきます。その流れを後押しするように、SDGs(持続可能な開発目標)が、2015年に国連総会で採択されました。

また東京青年会議所では2020年に中長期ビジョンを策定し、経済においては「新付加価値創造型経済を推進する」とし、従来の「拡大・成長」型の経済システムから、超高齢化、人口減少に最適化した経済システムの再構築が求められます。

今後、グローバル化した社会において、ビックデータを駆使し、DXの促進、第四次産業革命ともいわれる産業構造の変改に対応するために、新たな価値を生み出すイノベーションの創出が必要です。

VERIFICATION

過去政策の検証

東京青年会議所は、70年の歴史の中で時代に合わせた多様な経済政策を打ち出してきました。

「郵政民営化」「薬害エイズ問題」が波紋を呼んだ1996年には、青年経済人を代表する立場として政府に提言を行っています。リーマンショック後初となる公開例会においては「経済再生」をテーマに1,700人規模の動員を達成するなど、東京の経済界に対して大きなインパクトを与えてきました。

一方、1980年代当時既に環境配慮を謳った例会を主管するなど、今日にも通ずるビジョンを一貫して掲げてきました。1997年の例会においては、「もう、官に頼らない」というビジョンを先駆的に打ち出し、会員600名の動員を達成しました。また、2009年の例会においては、「新しい価値の創造」と銘打ち、中小企業によるイノベーションの必要性を謳っています。2014年には「サスティナブルシティ新東京」を掲げ、民主導型の持続可能な社会ビジョンを示し、継続事業として賛同者を得るべく運動を推進しました。昨今のSDGsの普及などが重なり、改めて持続可能な経済発展の重要性が認識されるに至ります。

2019年には、行政と民間企業が協働してイノベーションを興し、社会課題を解決する重要性を提言致します。時代の潮流に合わせた運動に取り組むと同時に、普遍的な経済政策を提言してきた結果、東京の青年経済人団体としての信頼が培われ、今日の行政民間協働に繋がっています。

HISTORY

政策の歴史

2020年
事業名称
中小企業よ、イノベーションを巻き起こせ!
社会背景
日本経済を支える存在でありながら、存続が危ぶまれている中小企業はイノベーションの必要性を感じながらも、イノベーションに向けた活動が実施できていない。
目的
イノベーションに向けた意識変革と行動を起こさせること。
事業内容

2月例会 中小企業よ、新たな時代を切り開け!~イノベーション最前線~ 開催

基調講演及びパネルディスカッションを通して、イノベーションに向けた事業戦略の構築方法及び阻害要因の克服方法を学び、意識変革をもたらした。

【基調講演】「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。」

講師:出雲充氏(株式会社ユーグレナ代表取締役社長)

【パネルディスカッション】「新たな時代を切り開け~イノベーション最前線~」

  • パネリスト:出雲充氏(株式会社ユーグレナ代表取締役)
  • 福井泰代(株式会社ナビット代表取締役)
  • 河村哲(レキオ・パワー・テクノロジー株式会社代表取締役)
  • 中村亜由子(eiicon代表)

中小企業 VS パンデミック 「緊急会議」

突如発生したコロナ禍において、中小企業の経営者同士が、これからの中小企業の在り方や、最先端のテクノロジーをもっていかに立ち向かって行くかを議論する緊急会議をいち早くオンラインで開催した。

withコロナ中小企業支援事業 コロナ廃業をSTOP!アフターコロナのM&A戦略

コロナ禍による経済環境の変化を踏まえた上で、中小企業が生き残りをかけてどのような戦略をとるべきか、講演を受けた。
講師:森田洋輔氏(MANDA株式会社代表取締役)
青見文博氏(ブルック・コンサルティング株式会社代表取締役)

主なターゲット
中小企業
2019年
事業名称
LinkdeChange!プロジェクト〜オープンイノベーションで社会が変わる〜
社会背景
近年日本は、環境問題、少子高齢化、地域の過疎化、エネルギー供給問題など、他国に先駆けて多様な課題を抱え、課題先進国と謳われている。社会課題の解決にはイノベーションが有用であるが、リソースに限りがあることから、すべてを自前で行うという従来のクローズドイノベーションでは莫大な時間的・人的コストがかかり、スピード感のあるイノベーション起こすことは困難である。そこで、民間企業が行政をはじめとして多様な分野とつながり、オープンイノベーションを活用して互いにアイディアやリソースを出し合い、社会課題の解決をすることが喫緊の課題である。
目的
社会課題を解決するイノベーションが生まれる社会の仕組みをつくること。
事業内容

【ワークショップ:第1部】

企業がオープンイノベーションにより社会課題解決型ビジネスでイノベーションを起こすことの必要性について講師による講演を行う。講演の中では、成功事例を紹介し、参加者の動機づけをする。

【ワークショップ:第2部】

  1. 自社の強みをワークシートに書き出す。
  2. 行政から事前にヒアリングした社会課題を参加者へ提示し、課題ごとにグループを編成する。
  3. 強みをグループメンバーに紹介する。
  4. 解決するための事業モデルを検討する。
主なターゲット
企業
2018年
事業名称
踏み出そう100年企業への道 〜思いを受け継ぎ、新しい成長を〜
社会背景
人口減少・グローバル化という既存事業の存在危機と低い生産性により、中小企業は新しい事業への変革と生産性向上に迫られている。また、経営者の平均年齢が66歳となり、承継問題にも直面しているが後継者が不在の事業者が多い状況にある。コーポレートガバナンス未整備による難しい価値算定や高額な仲介手数料、事業発展への疑念などが原因となっている。承継問題の解決方法の整備や受け皿となるべき若手経営者の積極的な行動による意識変革が必要である。
目的
若手経営者が第三者承継戦略を理解し、事業成長に向けて自発的な行動に至ること。
事業内容

<勉強会開催>

例会参加までの準備として事業承継の実態と問題点をインプットするための勉強会を開催。

テーマ:「今の事業継承から採る事業成長の可能性」
講師:西武信用金庫 法人営業部 推進役 鈴木優輝氏

<6月例会開催>

【パネルディスカッション】

  • 高畑公志氏(株式会社Dサクセッションパートナーズ代表取締役社長)
  • 高橋一朗氏(西武信用金庫常勤理事・法人推進部長)
  • 徳田充孝氏(株式会社ダイアナ社長)
  • 松山秀子氏

事業承継実務者、中小企業支援者、第三者承継経験者による対談。中小企業の事業承継問題と中小企業の友好的M&Aの推進事例の提示。

【起業家ディスカッション】

  • 前田佳宏氏(リンカーズ株式会社代表取締役社長)
  • 庄司眞氏(ピーアークホールディングス株式会社代表取締役社長)
  • 谷田俊之氏(谷田会計事務所代表)
  • 松岡章夫氏(税理士法人松岡事務所代表社員)
  • 高橋一朗氏(西武信用金庫常勤理事・法人推進部長)

経営者による考え方の違いや事業承継関係者の意見を聞きながら先進的なM&Aマッチングシステムについて確認。

主なターゲット
有識者、学者、2代目社長
2015年
事業名称
サスティナブルシティ新東京の始動
社会背景
持続可能な社会の実現のためには、経済活動と環境活動の両立が不可欠であるが、東日本大震災から4年目を迎えても国のエネルギー政策の方向性は定まっていない。世界に先駆けて東京において市民生活が安定的に営まれる持続可能な社会の具現化に向けて、個人や企業がそれぞれの発展と社会貢献の両立を目指し、協働していくことが求められている。
目的
市民が、サスティナブルシティ新東京構想への理解を深め、運動を推進すること。
事業内容

【基調講演】「スマートシティで描く日本の成長戦略」

講師:東京工業大学 特命教授 柏木孝夫氏
環境に配慮した持続可能な社会について、国内海外の事例を用いて具体的に解説して頂く。

【プレゼンテーション】「サスティナブルシティ推進協議会」

プレゼンター:公益社団法人東京青年会議所経済・環境政策委員会
環境に配慮した持続可能な社会の実現方法の1つとして、事業者、学者・研究機関、経済団体、行政、一般市民が参画できる個々のつながりを活かす協働方針を提案。

【パネルディスカッション】テーマ:「持続可能な未来とは」

  • 講 師:原丈人氏(アライアンス・フォーラム財団代表理事)
  • 柏木孝夫氏(東京工業大学 特命教授)
  • 出雲充氏(株式会社ユーグレナ 代表取締役社長)

環境・エネルギーに関する議論を通じて、持続可能な社会の実現方法や個々の繋がりを活かし広げることによる大きな可能性を理解していただく。

主なターゲット
一般参加者
2014年
事業名称
サスティナブルシティ新東京への挑戦 ~このままでいいですか、東京の未来~
社会背景
人口増加に伴う資源やエネルギー需要増、CO2排出等による環境破壊が進み、持続可能な社会への意識改革が必要とされている。社会システムは制度疲労を抱え、山積する社会問題への対応が遅れているなか、政府による成長戦略は未だに根本的な解決には程遠く、微々たる経済成長に陥っている。持続可能な経済成長や持続可能な社会を目指していくためには政府だけに頼るのではなく、民間主導による社会ビジョンを示す必要がある。
目的
民主導による持続可能な社会ビジョンを示し賛同者を作ること。
事業内容

【講演】

川口盛之助氏(株式会社盛之助、代表取締役社長)
「メガトレンド~変化を読み取る~」をテーマに次代のビジネス潮流や日本の可能性について解説し、新しい持続可能な社会ビジョンの概念について説いて頂く。

【講演】

安藤忠雄氏(建築家)
「これからの都市発展のモデル」をテーマに都市への愛着や持続可能な社会についてお話頂く。

【対談】

  • 水野正人氏(元東京2020オリンピック、パラリンピック招致委員会CEO、ミズノ株式会社代表取締役会長)
  • 菅原敬介(東京青年会議所理事長)

「2020年東京オリンピックへ向けた東京の未来」をテーマに、東京の都市計画や発展の可能性、持続可能な社会の実現に向けて必要な要素などについて対談。

【提言】

政策提言ムービーを上映。

主なターゲット
大学生、一般参加者