POLICY

本年政策


理事・室長 金村 成秀

日本は世界に類を見ない超高齢化社会を迎えます。2025年には高齢化率が30.3%となり、今の社会保障制度では破綻してしまいます。市民だった人々は住民化してしまい、過度なサービスを求めるようになり、必要のないところにまで財源が使われているのが現状です。住民化してしまった人々を市民として呼び覚まし、誰ひとり取り残すことなく、すべての市民を巻き込んで我が事として様々な問題に向き合う必要があります。

JCは行政とのパイプがあるため、行政と連携し運動を起こし、行政には本来の仕事である市民のリーダーとして機能するよう働きかけることが可能です。

まずは住民が必要としている福祉の情報を効果的に取得し、活用できるよう地域住民が行政と地域の事業者との相互扶助関係の充実させることで、定常化を前提とした持続可能な福祉社会が成されるよう運動をしてまいります。

SUMMARY

過去政策のサマリー

明るい豊かな共生社会には、他者との関わり合いが必要不可欠であるとの考えから、男女、子育て、LGBT、高齢者等、様々な視点から、個人の尊厳を大切にした相互理解や地域との関わり合いの重要性を訴え、主として意識改革を中心に据えた取組を行ってまいりました。

特に2015年には2つの例会を開催して相互理解を促進し、2016年には4つの例会を開催し、都市の高齢化問題に焦点を当て、①孤立化、②労働力人口の減少問題等の解決として、高齢者のパラレルキャリアや多世代教育の具体的実践方法の可能性を研究し、新たな価値を生み出す可能性をメンバーを中心に広く伝えた上で、都民意識調査の集計を基に、高齢者がいききと地域で活躍できる未来提言を行いました。2017年には、共生社会の実践的取組である「ダイバーシティマネジメント」に焦点を当て、これを社会に広げる政策を実施しました。

そして2019年には週一回の地域の子供達が高齢者のお買い物のお手伝いをする「ついDAY運動」や介護体験を通じて他人事を我が事になる推進運動を行い、例会においては『「超高齢社会」の今私は、あなたは、何ができるだろう』をテーマに開催し、社会参加をすることで明るく生きる高齢者について言及する中で、いきいきと年を重ねる姿を若い人に積極的に見せることが重要であることを講演頂きました。

そして2020年は新たな共生社会の形として中小企業と就労継続支援B型事業所の業務委託によるビジネスの可能性をテーマに例会を主管し、推進運動では就労継続支援B型事業所を利用する障害者の工賃向上、更にその存在及び活用方法や有益性の認知拡大、並びに同事業所への業務委託数の向上を目的に、中小企業からの業務委託を増やすべくビジネスマッチングを行いました。

VERIFICATION

過去政策の検証

2015年度には共生社会推進特別委員会として、男性とはこういう性格、女性とはこういう人、障害者とはこういう存在、と自分の中の価値観だけで物事を判断するのではなく、周りには色んな考えを持った多種多様な人たちが存在しているという相互理解へのきっかけを作る機会を提供しました。

また共生政策(2016年度、2017年度は総合政策)は、メインターゲットをJCメンバー、成人~高齢者に定めて行われてきました。2015年度、2016年度、2017年度と1年間で複数回の例会を持ち、連続性を持たせて運動を行いました。また例会のみならず、推進運動として勉強会等も開催し、多くのJCメンバーに機会を提供してきました。

当時の委員長に話を伺うと、どの委員長もまずはJCメンバーの意識を変え、意識の変わったJCメンバーがそれぞれ関わっているコミュニティで情報を発信することを狙っていました。例会のアンケートの結果からも参加者の70%以上が例会の趣旨を理解し、意識が変わったことを示していました。ただ1回の例会だけではなく、継続して事業を行っていくことが結果に繋がると考えられます。

HISTORY

政策の歴史

2020年
事業名称
共生社会を目指して ~SpecialWorksMatching~
社会背景
障害者就労支援対策において「工賃倍増5ヵ年計画」(H19~H23)が実施されたが、十分な工賃向上には達しなかった為、「工賃向上計画支援事業」(H24~H26)を新たな取り組みとして促進して行った。しかし最も低賃金でもある就労継続支援B型事業所の平均工賃は8年間の取り組みで3,000円程しか伸びなかった現状がある。

事実、就労継続支援B型という制度を利用して働く障害者の月収は約1.5万円(H29)となり(1.厚労省就労支援現状B型等)、時給は東京都の定める最低賃金1,013円を大幅に下回る約200円となっており、H26以降も平均工賃の大きな推移向上は見られない事から、行政による取り組みと、障害福祉関係者だけでは難しい課題と理解できる。賃金が伸び悩む理由として、各事業所への委託業務数が不足しているだけでなく、施設利用者の増加も挙げられている。

また、調査によっても3308事業所の内89%が工賃向上は必要と感じており、(2.B型事業所アンケート)最も重要な取り組みとして企業との連携をあげているため、事業所の存在や活用の有益性の認知の促進が求められている。障害者が適正な賃金を享受でき、それぞれに適した仕事に取り組める環境を作る事で社会により参画をする事ができる為、一億総活躍社会として、共生社会を目指す為には日本一の経済都市東京だからこそ今までにないビジネスツールとして障害者とのビジネスパッケージを発信し、有益性を示して行く必要がある。

目的
社会が就労継続支援B型事業所の存在及び活用方法や有益性を認知し、業務委託数の向上する事
事業内容

継続支援B型事業所が適切な賃金で働くことができる環境を作るため、

① 青年経済人でもあるJCメンバーが推進し社会に貢献する必要がある。就労継続支援B型事業所の利用者が適切な賃金で働けるよう障害者が行える作業や内容を明確に示し、障害者自身の個性を共生社会として社会に可能性を指し示す。

② 就労継続支援B型事業所へ作業を委託する事や、事業所商品の活用による社会的責任の取り組みや、ビジネスとしてBPOによって得られる実績をメリットとして企業に示す。企業がメリットを理解する事によって、就労支援B型事業所への委託業務が増えていき、必然的に利用者の所得が増える。

③ 実際に委託業務を考えている企業とのマッチングを図る事。障害者独自の発想や堅実な作業を社会が評価し、就労支援B型事業所のニーズが増えて行く。

主なターゲット
中小企業就労継続支援B型事業所
2019年
事業名称
共生社会政策推進運動~EverydayついDAY~
社会背景
2025年には、75歳以上が全人口の18%となると予測されている。それに伴い、国民の医療や介護需要がさらに増加することが見込まれ、平成28年閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」では支え手側と受け手側に分かれるのではなく、誰もが役割を持ち、活躍できる社会を作ることが喫緊の課題であるとしている。厚労省は高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもと「地域包括ケアシステム」の構築を目指し、新たに4つの「助(自助・互助・共助・公助)」が定義され、様々な生活課題を4つの助の連携によって解決していく取り組みが必要であるとされた。「互助」の核となる地域力の強化の為に「他人事」を「我が事」への意識が必要とされている。そして、地域住民による互助を促す仕組みの対価としての地域通貨(トークン)やポイント等の活用について、1980年代から日本各地において取り組まれてきているが、広く地域を超えて浸透しているものは未だ無い。
目的
他人事から我が事への意識改革を促し互恵的関係による地域社会を構築すること
事業内容

ターゲットは子供も含めた社会に関わるすべての人。各世代が高齢者と触れ合うことで、自分が年老いていくことを「我が事」へと意識し、「互助」の核となる地域力の強化の必要性を感じることが重要である。誰もが他人に与えられるものを持っており、役に立つと感じることは基本的な人間の欲求であることから、高齢者の多様な経験や知恵を活かし、高齢者が子育て世代等を支え、逆に子供や若者が高齢者の支援をしていくなど、「互助」や「互恵的関係」の強化に繋げる。

また、地域住民による互助を促す仕組みの対価として、互助の活動において広く浸透しうる可能性を持つ地域通貨(ポイント)を、ブロックチェーンの技術を使って普及させ、自身が行った支援によって得た対価を、自身や、自身の家族が支援を受けるとき、または他のサービスの対価として支払うときなど、多数の場面で使用できる環境を構築することが重要となる。

主なターゲット
小学生、成人~高齢者、関係団体
2017年
事業名称
TokyoJC×経済成長の流儀 ~ダイバーシティマネジメント・レポート2017~
社会背景
都民意識調査結果から人口減少・少子高齢化社会に向け、多様な人材の活躍機会の拡大が重要課題。「経済の豊かさ」と「人材」という観点から労働生産性を国際比較すると、日本は産業構造上の問題もあるがOECDの中では 22 位に位置。
目的
経済成長のためのダイバーシティマネジメントを社会に提言し、社会に広めること
事業内容
  1. 事前イノベーションセッション。経産省若手官僚 × 市民 × 東京 JC3 者の融合により、個人の幸福度や満足感をつぶさに観測するリーダーシップについて議論。
  2. 総合政策委員会総括。動画を使用し、1 年間の運動を振り返る。
  3. 調査・研究・提言。東京 JC 流ダイバーシティマネジメントの提言。
  4. 対談。個人・組織・地域におけるダイバーシティマネジメントについての対談を行う。
  5. ダイバーシティカンファレンスSeason2.0。個人・組織・地域におけるダイバーシティマネジメントをテーマに議論。
主なターゲット
JC メンバー、関係団体、各地会員会議所、成人~高齢者、企業経営者
2017年
事業名称
TokyoJC×ダイバーシティの流儀 ~多様な個性を組織の強みに~
社会背景
日本は少子高齢化に伴い、労働力人口が年々減少。東京都でも多様な個性や価値観をもつ人々の社会参画を後押しする制度の導入が促進されている中、多様な人材を活用する「ダイバーシティマネジメント」を導入し、実践する企業や組織が増加。
目的
参加者がダイバーシティマネジメントの可能性を感じ、自らの環境や組織において行動を起こすこと
事業内容
  1. 映像放映。理事長所信及び 2 月例会から 11 月例会までの運動の方向性とストーリー性が理解できるの動画を放映する。
  2. ダイバーシティカンファレンス。講師、理事長、各委員会から 1 名、計 35 名の様々な立場の方が登壇。
  3. 齋藤ウィリアム浩幸氏講評・総括。カンファレンスの講評と総括をしていただく。
  4. 佐々木かをり氏講演。組織に多様な個性を受け入れ、成長を支援し、その個性を活かしていくことで新たに生まれる思考が、企業の競争力向上につながるという「経営の新しい価値観」を講じていただく。
  5. 総合政策委員会のロードマップの共有。
主なターゲット
JC メンバー、関係団体、各地会員会議所、成人~高齢者
2016年
事業名称
2030年東京未来
社会背景
人口減少を伴う超高齢化社会が進展。都民意識調査により、子育てをしやすい環境を求める声や防災減災、若者の政治参加、女性、高齢者の就労などの関心が高い。
目的
都民意識調査の結果と人口減少を伴う超高齢化社会の到来を踏まえ、来年度以降の事業の方向性を示すこと
事業内容
  1. 都民調査推進特別会議による、意識調査の結果報告。都民意識調査の集計結果の概略と総括を発表する。
  2. 総合政策特別委員会からの総括と提言。2030 年のある一家で子供が大人に質問して答えていく寸劇で、各提言を紹介。
  3. 各地区委員会のプロモーション映像の放映。2017 年度の事業によって解決を目指す問題点を浮き彫りにする。
  4. 2017年度の地区委員長候補者による事業アイディア発表。次年度委員長候補者から、次年度事業を発表する。コンテスト形式で結果発表、講評を行う。
主なターゲット
JC メンバー、成人~高齢者、関係団体